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「いや、失礼。とても可愛らしい反応をされましたので、つい」 「はあ?」 「実はですね、このラートンは私の親友でもありまして、彼から兼ねがねお噂を耳にしていたのです」 「ラートンから……?」  訝し気にラートンに視線を移すと、彼は肯定するかのように穏やかな眼差しでタガルに応えた。 「そっか。ラートンは深海まで潜れるんだったわね」  水性哺乳類であるラートンは、最高2000メートルの深海まで潜ることが出来ると言われている。  あまりに深い所であれば滞在時間は一時間ほどだと言うが、その間の酸素は筋肉内にため込まれているそうだ。  そのようなことをラートンから以前、テレパシーでなんとなく聴いた気がする。  ラートンはつまり、海底帝国ホザイアとここを行き来しているということなのだろう。 「で、あたしのことをおてんば姫と……」    ジロリ、とラートンを睨むが、全く反省の素振りも見えない。  まあ、嘘を言ってるつもりもないのだろう。  それはそれでちょっと、腹立つけど……… 「それで、少しお時間頂けますか?実は私は以前からずっと、あなたと話してみたいと思っていたんです」 「あたしと?」 「はい。あなたと」
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