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約束の夜
僕はすっかり湯浴みも済まして、後は眠るだけでという完璧準備オッケーでお兄様のお部屋に突撃した。従者のセブには、最近僕がお兄様不足で元気がない事を心配されてたこともあり、朝まで添い寝しないという約束だけさせられて送り出された。
あまり遅くならない様にってセブとお兄様は何やら真面目な顔で2人でコソコソ話してたけど、帰りはお兄様が責任持って僕の部屋まで送っていく事になったみたい。
といっても僕達の部屋は同じ廊下沿いにあるからめっちゃ近いんだけどね。僕1人でも十分お部屋に戻れるのに、セブは心配性だなぁ。
僕がお兄様のお部屋を覗くと、お兄様はいつもより青みが強く見える濡れ髪で、冷たいレモン水をゴクゴク飲んでる所だった。暑いのか、ローブを腰まで下げて鍛えられた上半身を見せていた。
お兄様は剣術を始めとした武術が得意なだけあって、裸になると鍛えられた筋肉が浮き上がってうっとりするくらいとても綺麗だ。
僕は武術は人並みよりちょっと落ちるレベルだし、筋肉は付きにくいし、肌の色も白過ぎだし、華奢だと言われ過ぎで、ほんと良いとこ無くてガッカリなんだ。
僕たちホントに兄弟なのかしらん?まぁお父様とお母様にそれぞれ似てるから兄弟なのは間違い無いんだろうけどね。
リュードお兄様の裸の上半身をまじまじと見ていると、それに気づいたお兄様がアメジストの様な深い紫の瞳をキラリと光らせてクスリと笑った。
「リオンは僕の裸に興味あるのかい?」
「だってお兄様と僕はあんまりに違いすぎて、僕はお兄様が羨ましいんです。僕はちっとも筋肉がつかないし。」
「リオンは騎士を目指してるわけじゃないだろう?リオンは領地のためになるアイデアを沢山出してくれるし、数術は学院生レベルまできてるんだろう?
それに私は、リオンのそのたおやかな身体も素敵な魅力のひとつだと思ってるよ。」
お兄様が優しく僕の事を褒めてくれる?お陰で、僕はすっかり機嫌を直してしまった。お兄様の筋肉で引き締まった身体はやっぱり羨ましいけれど、僕は僕なのかな?と思える様になった気がした。
お兄様は僕を優しく引き寄せると色っぽい眼差しで僕を見下ろして言った。
「さて、レッスン開始しようか?」
僕は未知なものに対する好奇心と、非日常なお兄様の眼差しの奥の煌めきに引き込まれていたのだけれど、ふと先日のお仕置きからのモヤモヤを思い出したんだ。
「ん、お兄様。僕ちょっと困ってることがあって、お兄様に聞いてもらいたいんです。」
お兄様は、一瞬ちょっと気をそがれた様な表情をしたものの、直ぐに気を取り直していつもの優しい笑顔で僕に話の続きを促した。
「僕、お兄様にお仕置きされてから、寝る前に何だか思い出しちゃって体の奥がもじもじしちゃって困ってるんです。僕って何かの病気なのかしら?」
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