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僕って、誰?
目が覚めたら見たことのない青年が心配そうな顔で覗き込んでた。
「リオン様!お目覚めですか⁉︎」
「…誰?」
「っう。セブです。リオン様。お分かりになりませんか?
…今主治医と旦那様をお呼びいたしますね。」
優しい微笑みを浮かべて誰かに何か頼んでる。僕はまだぼんやりする頭を優しく撫でられるのを感じながらリオンて誰なんだろうと考えていた。
大きな音を立てて扉が開く音がしたと思ったら、白い上衣を着たおじさんとシュッとしたおじさんがベッドの側まで急いで近寄ってきた。
「リオン!目が覚めたのかい?大丈夫なのかい?お前は熱が1週間も下がらなくて意識がなかったんだ。ああ、神よ、感謝します!」
白衣のおじさんが僕の身体をあちこち調べてる間に、シュッとしたおじさんは優しく僕の頬を撫でていた。僕は知らない人ばかりで恥ずかしいやら、怖いやらで赤くなったり、青くなったり忙しい。
「あの…、どちら様ですか?…ここはどこですか?」
その場にいた全員が正に凍りつくという言葉通りに微動だにしなくなった。
「リオン!」
それから僕が記憶喪失になったと、数日お屋敷は大騒ぎだったみたいだ。
僕はやっぱり自分が誰なのかはっきりとしない状態が続いてたんだけど、鏡を見た時にスペード家の次男リオンだって頭に浮かんだんだ。でも自分がどんなリオンだったかは何だかハッキリしない。
しかもなんで僕ってこんなにチビなんだろ。イメージとしたら17歳ぐらいだったのに、7歳なんだって。しかも自分で言うのもおかしいけれど、天使じゃない?僕。
キラキラしたミルクティー色のふわふわヘアに真っ青な海色の瞳。薔薇色のほっぺたにぷくぷくとした赤い唇。最初は女の子かな?って。でもね、アレがついてたし、僕は僕だし。明らかに男なのは間違いないんだけど…。
でも何だか僕の中にもう1人居る感じがするんだよね。最初に僕ちっちゃい!って感じたもう1人が。ちょっと訳がわからなさすぎて誰にも言えないんだけどね。ま、いいか。
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