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4怒目 沖田が消えたので飲み会に参加する
最近、沖田をめっきり見かけなくなった。最近と言っても此処2週間程の話。声も聞こえないし、携帯に連絡もない。沖田の家の電気はついているが、彼奴の部屋には明かりが灯っていなかった。
家を訪ねると、叔母さん曰く、一日千円の小遣いを握りしめて何処かをほっつき歩いているらしいから、どうせ働きもせずにだらし無いニート生活を謳歌しているのだと思う。
沖田に会わないだけで全てが捗った。就職先も決め、難航していた卒業論文も難なく書き終え、週2のバイトも邪魔が入ることなく済ませられたし、趣味も堪能できた。金も使わない、時間に余裕もある。
なのに、なんだこの物足り無い感じ。何か足りなくてソワソワしている。
あれか。いつも忙しかったのが、急に暇になったからか。確かに卒論も部屋の隅に溜めていた本も読み終えた。
やることが無くなったからそう思うんだ。忙しくなくなったんだからそう思うんだと何度自分を納得させても、心の中で「違う」と否定される。
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