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飲み会が始まって数時間。俺は酷く酔ってしまった。どうやら酒に弱かったらしい。
ほろ酔いになろうと思ったくらいでいたのに、酒が飲める奴だと見栄を張りたくて調子に乗った末路だ。
「沖田が怒ってるんだよぉ、俺なんか言ったか? やったかぁ? いつも言うこと聞いてやってんのにさぁ、2週間も顔見せねぇ、連絡もシカト、こんなのあるかよぉ」
おまけに泣き上戸だった。土方という苗字を持ったが故に「鬼の副長」のレッテルを貼られ、あの土方さんのように責任感が強い男になるよう育てられてきた俺が泣き上戸。
笑ってくれりゃあいいのに、皆引いている始末だ。もう取り返しがつかない。自分でも制御することが出来ないし、口から出ていることが本当のことかどうかなんて、胸に問いかけるなんてこともしたくない。
しかし、気持ちは吐けば吐くほど楽になっていく。
「ちなみに最後、なんて言ったの?」
俺のぼやきに永倉が反応してくれた。コイツは本当にいい奴だな。
「最後ぉ? ……確か、俺はお前以外の人と結婚するだかなんだか……」
「それだろ」
満場一致のご意見だそうで、ゼミメンバー全員が口を揃えた。
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