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会社は1つだけじゃない。が、沖田洋は1人しか居ない。本人に確認してからにはなるが、奔放に生きてきたと思っていた幼馴染が本気で目指しているのなら、応援してやるのが筋だ。
そう答えると、永倉が「副長らしいや」と言えば、他もまた納得したように頷いてくれた。
どうやら、沖田の事でいっぱいになっている方が、責任感のあるバカ真面目な副長さんでいれるらしい。
そうと決まれば本人に真意を確かめに行こう。腕時計を見ると、まだ20時を過ぎたばかりだから、電車も余裕がある。
どうせ電話には出ないだろうから直接家に行く。
初参加だった飲み会に、快く俺を迎え入れてくれたゼミメンバーにお礼と別れを告げ、永倉に言われた金額を彼に預けて店を出た。
すると後ろから女性の声が「土方くん!」と俺の名を呼ぶ。
振り返ると、芹沢さんが顔を赤くし、背を丸めて立っていた。
「そういや、芹沢さんにはお礼を言ってなかったな。沖田の事を教えてくれてありがとう。おかげで謝る事が出来る」
「……彼女とは違う人生を歩くんじゃなかったの?」
「ああ、そうだ。沖田とは違う人生を歩く」
「言ってる意味がわからないんだけど」
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