5怒目 苗字は絶対に譲りません!

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「国立大に合格して、将来有望な昔から成績優秀、文武両道、才色兼備の四字熟語がお似合いの土方くんにはニートの沖田は釣り合いませんものね。本当イヤな感じ。もしかして、勉強してるアタシをバカにしに来たの?」  益々拗れてきた。芹沢さんが何を言った知らないが、沖田は完全に俺を敵と見做している。 「バカにしたいところ申し訳ないけど、アタシ、京都に行くから。刀鍛冶の修行をさせてくれる人を見つけたの。よかったねぇ、青春を邪魔する忌々しい沖田と離れられるんだから、泣いて喜んだら!?」  怒りを堪えられなくなった沖田がクッションを投げて来た。  ずっと隣に居たからわかる。沖田は泣きそうな時、必ずキレる。弱い自分を見せない為に強がるんだ。  俺はようやく気づいた。  沖田は冷たくされたことに怒っていたんじゃなくて、結婚しないと言われた事にショックを受けていたんだ。    俺達にとって結婚は恋愛の延長や世間体の云々ではなくて、ずっとセット扱いされる為の約束に近い。一緒に居たいという意味では他と変わらないのかもしれないが、幼馴染や恋人なんて言葉では言い表せない何かになるための約束なのだ。
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