5怒目 苗字は絶対に譲りません!

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 こういう時にどうしたらいいかわからない。  とりあえず、感情の赴くままに沖田を抱き寄せて、逃げられないように腕で締めた。   「ばか! 大学だって、ホントはお前と居たいから行ったんだ! 沖田に毎日唐揚げを食わせてやるのに、いい会社に入ってちゃんと稼いでこないといけないだろ! お前が居なくなるなら、俺だって、俺だって……」 「意味わかんないし!」  長く近くにいると、たった二文字が言えなくなるらしい。今までも言った事はないが、確実に幼い頃から心の中にある感情で、それを伝えたいのに喉でつかえる。  それでもジタバタと暴れる沖田に嫌われたくなくて、やっと出た言葉は――。 「俺だって沖田と京都に行く!」  "好き"とは言えなかったが、言えた。言ってやった。  これは実質プロポーズみたいなもんだ。沖田だって、ツンツンしないで顔を赤くして照れているに違いない。  ここでキ……いやいや、接吻もすればお互い素直になって、本当はこうでありたかった関係になれるのでは?  鼓動を早めながら沖田の顔を見ると、ほら、予想通り顔を赤くして照れて――ない。 「……アンタ、何しにくんの?」 「え……?」
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