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こういう時にどうしたらいいかわからない。
とりあえず、感情の赴くままに沖田を抱き寄せて、逃げられないように腕で締めた。
「ばか! 大学だって、ホントはお前と居たいから行ったんだ! 沖田に毎日唐揚げを食わせてやるのに、いい会社に入ってちゃんと稼いでこないといけないだろ! お前が居なくなるなら、俺だって、俺だって……」
「意味わかんないし!」
長く近くにいると、たった二文字が言えなくなるらしい。今までも言った事はないが、確実に幼い頃から心の中にある感情で、それを伝えたいのに喉でつかえる。
それでもジタバタと暴れる沖田に嫌われたくなくて、やっと出た言葉は――。
「俺だって沖田と京都に行く!」
"好き"とは言えなかったが、言えた。言ってやった。
これは実質プロポーズみたいなもんだ。沖田だって、ツンツンしないで顔を赤くして照れているに違いない。
ここでキ……いやいや、接吻もすればお互い素直になって、本当はこうでありたかった関係になれるのでは?
鼓動を早めながら沖田の顔を見ると、ほら、予想通り顔を赤くして照れて――ない。
「……アンタ、何しにくんの?」
「え……?」
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