2怒目 沖田中心の就職活動

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2怒目 沖田中心の就職活動

 沖田の所為で進路だってめちゃくちゃだ。いや、めちゃくちゃは言い過ぎか。とにかく振り回されていることに間違いはない。  俺にだって夢は……特にないけど、就職活動は他の学生らとの覚悟が違う。恐らく彼奴が居なければこんなに進路で悩むこともなかったろうし、就職氷河期とまではいかなくとも、就職率が良くない世の中を見れば、内定をもらえるだけで有り難い事なのだ。 「はぁあ、内定もらえないなぁ。副長はどう? 変わらず無双中?」  同級生の永倉は夕陽の差し込む校内のテラス席でウナギのように項垂れた。就職活動を始めてから今の今まで、内定を一つももらったことがない。  マイペースでおっとりした性格の彼は、口では内定をもらえないことを嘆いているが、驚くことに内心は全く落ち込んでいない。仮に内定が決まらなかったらバイトしまくって旅に出ようなんて呑気なことを語っているくらいだ。 「まあな。悪いがお前とは真逆だ」  幸いなことに俺は、選べるほどの内定を手にしている。百発百中、絶賛無双中。  けれど内定が決まっているだけで、就職が決まったわけじゃない。
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