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俺が望むのは、福利厚生が整っていて、なおかつ家族手当の出る企業を選ばなければならない。最近だと、一風変わった福利厚生を出している企業もあるようだから、例えば、家族が熱を出したときに休めたりする権利なんてあるといいかもしれない。
彼奴は一年に一度、決まって高熱を出すからだ。有給は別な何かのために取っておきたい。
確実に手厚い福利厚生があり、年収ももう1人くらい養える金額が受け取れる企業に行かねばならないのだ。と、永倉に熱弁する。
しかし。永倉はポカンとしているじゃないか。口を開けっ放しにしてるかと思えば、次は眉間に皺を寄せて。もしかして夕陽が眩しいのか?
「あのさ……家族手当って……家族じゃないともらえないけど……副長、大学出たら結婚でもするの?」
「いや? しないが?」
永倉のやつは何をいうんだ。俺に彼女がいないことも、好きな女がいないことも知っているのに。さては珍しく、内定がもらえない鬱憤を晴らすための嫌がらせか?
恋人持ちは時々こういうところがあるな。張り合うフィールドが違うのに、自分の得意分野を持って来て戦おうとする。
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