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1怒目 沖田っていう女
俺は沖田と結婚しない。
唐突で申し訳ないが、これは真剣で決めた事。
ただの幼馴染であるだけの「沖田洋」と将来結婚するんだなんだと勝手に騒がれて、気がつけば大学4年。
おかげで彼女も居た事がないし、好きになった女すらいない。これも全部沖田のせいだ。俺のあったかもしれない青春を返してほしい。
そもそもあいつには人生を振り回されっぱなしだ。何やるにも「沖田」。どこ行くにも「沖田」。
母さんは沖田の叔母さんにも「洋を宜しくね」なんて言われ続けて来たから、一緒にいる事が当たり前になっている。
一緒にいなけりゃあ喧嘩したのかなんて冷やかされる始末だ。
「あれ、副長。今日は沖田ちゃんいないの?」
ほらみろ。早速同級生が声を掛けてきた。優雅に学食のホットサンドとホットコーヒーで一息吐こうなんて思ったら、直様沖田の話。
窓際の良い席に座ったのに、気分は台無しだ。
「いるわけないだろ。彼奴は部外者なんだから本来大学に入れる筈が無――」
「ひ、じ、か、たァ!」
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