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ボンッ ボンッ と、時々爆発するような音を立てながら、炎はますます大きくなるばかり。
メラメラと燃え上がる炎が巻き上げた火の粉が、雨のように降ってくる。
「アチ・・・アチチ・・・あ・・・」
火の粉をよけようと、体をよじらせたネコさんは、重大なことに気がついた。
「そうか!わかったぞ!ネズミくん。キミはとうとう命がけで大切な役目を果たす時がきた。オレの友だちのキミにしかできない、大切な役目だ。」
ネコさんは、赤い炎の光に全身を照らされながら、目を爛々と輝かせて、ぼくを見た。
「何だよ? 早く、早く教えてよ! 早くしないと、そのステキな白い毛に火が燃え移ってしまう・・・」
ネコさんは、落ち着いた声で言った。
「オレが動けないのは、重たい冷蔵庫に尻尾を挟まれているからだ。ネズミくん。頼むよ。オレの尻尾を噛み切ってくれ!キミの鋭い丈夫な歯で、オレの尻尾を切り離してくれ!」
ああ、ぼくは、なぜ今まで、そのことに気づかなかったろう。
「頼むよ。ネズミくん。脚が立たないので自分で力を入れることができないんだ。キミならできるだろう? キミにしかできないことだ! オレを助けてくれ。キミといっしょに暮らせるなら、尻尾なんかいらない。何もいらない。オレにとって、キミとオレの命より大切なものなんか、何もない。そうだろう?」
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