chapter 01:別れ。

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 とはいえ、俺たちエナジストは一般的に云われているヴァンパイアとは違い、太陽の光を身体に浴びても枯れ果てることはないし、鏡にも写る。  それに人間と同じように食事だってできる。  まあ、人間と同じ食事を摂らなくともいいのだが。  その理由とは、俺たちの正体を疑われない為である。所詮は人間社会に馴染むための行為にすぎない。  そんなことはどうだっていい。  問題なのは、”俺たちエナジストは人間のエナジーを吸う”ということにある。  そして俺は少量ではあるが、毎日、筑紫からエナジーをいただいている。  それというのも、俺はまだ力をコントロールができない未熟なエナジストで、無意識のうちにこの力が発揮されるからだ。  おかげで最近になって筑紫が体調を崩しはじめている。  今日だって軽い貧血を起こし、保健室に世話になった。  元々華奢な身体つきだったが、ここへきてさらに細くなったし、顔の血色だって悪い。  俺が筑紫を想えば想うほど、この特殊能力は強くなり、筑紫を苦しめることになる。  だったら、もう傍にいない方がいい。その方が筑紫の為にもいい。そもそもが、同性と恋に落ちることこそが間違いなのだ。  口づけただけでもすぐに顔を赤らめる筑紫。  表情が豊かで、怒ったと思ったら泣きそうになったり、まるで万華鏡のようにころころ表情が変化する。
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