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「っ……」  ──駄目だ、我慢できない。 「……っくっしゅん!!」  慌てて開から顔をずらし、横を向いて出したのはくしゃみ。  全速力で走って汗をかいた体に雨が当たり、さらには開からの官能的なキスを受けて短時間で体温差が出たらしい。背中がゾワゾワしたら、鼻もムズムズした。 「ごめん開さん、ムードぶち壊し……」  大型犬の耳が垂れるようで愛らしくて、開は涼介の濡れた髪を撫で付けてやる。 「シャワーした方が良さそうだね」  開はバスルームへ行き、浴室暖房をつけてタオルと着替えを準備した。そして、涼介に抱きしめられて湿ってしまった自分のシャツの襟元をぎゅっと握った。 「……涼くん、用意できたよ」 「あ、はい。ありがとうございます。……っつ!?」  バスルーム内に姿が隠れていた開に声だけで呼ばれた涼介は、素直に足を踏み入れて目を剥いた。  開が、衣服を脱ぎ去り全裸になっている。 「開さん……!?」  目に映るのは男の身体だ。  白くて艷ややかな光沢がある肌を持ち、筋肉質でもなく腰も細いが、おうとつや柔らかさの無い、間違いなく男の身体だ。  学生時代、更衣や水泳の授業で男の身体など見慣れている。合宿や社員旅行で大浴場も利用した。  でも、その時に目に入った者達のものとはまるで違う。 「あの、俺……」  あまりの艶かしさに、視線を留めておくのにも罪悪感を感じ目線を下に移した時、涼介はジーンズの中で芯を持つ自身の変化に気付いた。  瞬間で顔から火が出て全身が熱くなる。なのに芯はさらに硬度を増して、開から見てもかたちを変えているのがわかった。 「あ、や、あの、これは生理反応で、決してがっついてるわけじゃ!」  焦って釈明する涼介に、開はくすりと笑いを漏らす。 「大丈夫だよ」  言うと、開は涼介のジーンズに手をかけ、ジッパーを下ろし始めた。 「か、開さんっ!?」 「僕も少し濡れたから、一緒に温まろう。ほら、突っ立ってちゃ脱がせにくいよ。足、抜いて?」  開は穏やかな表情で涼介の衣服を剥いで行く。    ──はい? 一緒に温まる?  頭の中はパニックでも、開が優しく手を添えて脱衣を促すものだから、涼介は幼い子どものように従いあっという間に全裸になった。腹の下の芯はすっかり角度を持っている。  恥ずかしさで声も出ない。だが、ふと見た開のものも、同じように変化していた。 「同じだよ。僕の体も同じ。好きな人のありのままを見て、高揚してる。……ほら、入ろう」  開が涼介の手首を取り、シャワー室へ誘う。不思議と、涼介の耳には水栓をひねる音までが艶かしく響いた。    頭上から熱いシャワーが降ってくる。だが、二人で浴びるには湯が当たる範囲が狭い。 「涼くん、もう少しくっつこう」 「え、でも」  向かい合っていてただでさえ(もも)が触れているのに、これ以上体を寄せたら剥き出しになった胸同士がくっついてしまう。そして、天井に向けて勃ち上がった互いの熱も。 「ほら、こっちに来て」 「開さん……!!」  開が涼介の二の腕を引き、パチンと弾んだ音がして肌同士がぶつかった。
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