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 引っ張られた涼介は開に覆いかぶさる形になるが、開はそれを受け止め、涼介の首の付け根に顔を埋める。  ──こんなの、どうしたら。  開を強く抱き締めたい。けれど、押し倒した時の怯え方を思うと腕を回すことが出来ずに、涼介は拳をぎゅっと握って必死に自制した。  目を固く閉じ、肩で息をする。  それなのに、開は涼介の首に片手を回してさらに体を寄せ、もう片側の手のひらで二人の滾ったものを合わせ撫でた。  湯で濡れた開の細い指が、涼介の先走りを硬い幹へと拡げていく。 「……っ開さん」  これ以上は駄目だと思う頭は左右に揺れるのに、体は思い通りにならない。開が導く快感から逃がれられず、両腕が開の腰を掴みそうになる。    涼介は拳のまま、震える腕を添えるように開の腰に巻いた。決してがんじがらめにしないように、僅かな理性を保って。 「涼くん、大丈夫。君の顔が見えてるから怖くない。ね……抱きしめて」  開は互いの腹のあいだにある双芯を撫で擦る手は止めず、顔を上げて涼介の鎖骨、首筋、顎に唇を滑らせ、最後に唇を重ねた。  堰き止めていた涼介の感情が溢れ出る。湯と汗を握っていた手のひらを大きく広げ、開の肩と腰の骨に響くほど強く抱き寄せた。  開の手にもまた、呼応するように力が入り、これ以上なく滾った二人の熱を一心に扱いた。    そして。  シャワーからの湯が二人に分け隔てなく降り注ぐ下、涼介は若い精を開の手の中に放った。
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