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「俺、やっぱり車買おうかな。そうしたら開さんに助手席に座って貰って、時々手を繋いだりしながら家に送って行けるじゃん」 「ふふ。名案だけど……もうすぐ一緒の家に帰れるようになるから、必要なのは車じゃなくて長く使える新しい家具かも」  また、涼介の喉が詰まる。  開から紡がれる二人で過ごす未来への言葉、濁りない幸せの気持ち。それが胸を熱くするのだ。 「……やっぱりプロポーズですよね、それ」  泣きたくなる気持ちを自分自身で茶化して、開の右手の指に指を絡めた。 「えっ、違っ……」  顔を赤くして反論する開が反射的に上げた右手を、涼介は自分の口元へと運ぶ。  そして。  薬指に口づけた。 「指輪も必要ですね。時期が来たら宮前さんに頼みましょうね」  ──宮前がいたら絶対に「いつまでやってんだよ、バカップルが」と言われるな。  思いながら、開も胸をいっぱいにして頷き、近い未来に思いを馳せた。
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