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 マンションに帰り着いた頃にはそれなりに濡れて、涼介のTシャツも開の麻混素材のテーラードジャケットもしっとりとしていた。   「開さん、俺がタオル取ってきますから」  先にスニーカーを脱いだ涼介は洗面所へ向かおうとした。が、開に手首を取られ、さっきまでと同じく強めの力で引っ張られる。  されるがまま着いて行くと開は浴室のドアを開け、そのまま洗い場になだれ込んだ。 「わ、開さん。服が……」  びしょびしょになりますよ、と涼介が言うより早くシャワーヘッドから湯が降る。 「開さん、これじゃあ脱ぎにくいよ……」  服が余計に濡れて、身体のラインがわかるほどに張り付いているのもある。たが、なによりも開の身体が涼介にぴたりと張り付いている。  残暑の雨の中、小走りだった為に二人とも体温が上がっているのに、触れ合っている素肌の部分はもっともっと熱い。 「ねぇ、開さん。俺、我慢できなくなる。俺、どうしたらいいの?」  身体の火照りに全身が苦しくなる。涼介は開を力いっばい抱き締めたい腕を自制して、息も切れ気味に問いかけた。 「どうもしなくていい。僕が全部するから、涼くんは心配しないで」  開は以前涼介をシャワーに誘った時と同じに、涼介の服に手をかけて剥いで行く。涼介は鼻で静かに深呼吸をして力を抜いた。  音のしない、静かな口づけがシャワーと一緒に涼介に降り注ぐ。首筋や鎖骨を滑り、ジーンズを脱がせるために跪いた開が臍の近くに唇をつけると涼介の身体はピクリと揺れた。 「ねぇ、開さんも脱いで?」  ジッパーの下で孕んだ欲を開の目の前に晒すのが恥ずかしい。涼介は手を伸ばして開の顎骨に触れた。  すると、開がその手に頬を擦り付け、湯が滴る前髪のあいだから覗く大きな瞳を上目遣いにして涼介を見て、緩く口角を上げた。 「……っつ……!」  誘うような表情に、ジーンズだけてなく下着もきつくなる。 「僕はあとから。先に涼くんの、見せて?」 「や、開さん、待って……あっ……」  下腹が楽になるのと同時に滾りきった熱塊が勢いを持って飛び出した。細い血管も怒張し、若いエネルギーを主張している。 「凄いね。涼くんの、もうこんなに大きくなってる」  ぐん、と伸びて上を向いたものが開の鼻筋のすぐ近くにある。それだけでなく、開が十本の指全てでそれを包んだ。 「だめですっ……!」  すす、と指が滑ると涼介の脚は震えて膝が折れた。跪いたままの開を掴んでしまえば姿勢は保てるが、目一杯力を入れてしまいそうで、涼介は右手を洗い場の鏡に突っぱねて耐えた。  それなのに。 「ちょ、待って、開さんっ……!」  今にも弾けそうなものが開の口の中に収められ、すぼんだ唇で吸い上げられる。  男の身体を充分に知っている男の唇と舌は巧みに滑り、涼介に思考する隙を与えなかった。 「アッ……!」  局所から小指の先にまで走る痺れになにも考えられず、すぐに絶頂を迎えた涼介は開の口の中に熱を放った。 
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