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   全力で高飛びをしたような感覚がした。衝撃吸収力の高いマットに倒れ込みたい。涼介は真っ白なままの頭を上げていられず、開の身体によりかかって肩に顔を埋めた。  開はごくん、と喉仏を上下させてからしっかりと涼介を抱き止め、背を撫でながらこめかみにキスを送る。 「涼くん、身体を拭いてあげるから座って」  バスチェアに促され、涼介はゆっくりと腰を下ろす。まだ頭の中は白くて思考は回らず、開がバスタオルで身体を拭き始めても言葉一つ発せなかった。 「ふふ。涼くんかわいい」  開は涼介の髪や耳たぶを丁寧に吹き上げていく。ジャケットを脱いで白いVネックTシャツになっただけの開の肌は湯で濡れたために透けていて、身体のラインもくっきりと出ていた。  シャープな顎や細い首筋からは水滴が伝う。  身体が乾くと共に少しずつ頭がクリアになってきた涼介は、開の艶かしさ生唾を飲み込んだ。同時に、再び腹の下でふつふつと湧いてくるものがある。 「あっ、俺……!」  恥ずかしさに、思わず手で隠す涼介だが、開はまたふふふ、と笑った。 「早いね。やっぱり若いなあ……。涼くんごめん。先にベッドに行っててくれる? 僕もシャワーを浴びてから行くから」 「あ、はい」  涼介は大人に諭される従順な少年のように素直に頷き、肩にかけてもらったバスタオルの端を握りしめながらバスルームを出た。  ──どうしよう。凄い恥ずかしい。俺、また開さんにされるがままで。あんなこと、してもらうなんて。  口淫など初めての経験だ。以前手でされた時以上に身体が震えた。 「んっ……」  暖かかった口の中の感覚や最中の開の表情を思い出すと収まりかけていた涼介のものが芯を持つ。血流が腹を巡り、竿だけでなく会陰の中心あたりが熱くなった。  こみ上げる欲を自分で発散してしまいたい。だが、いつ開が寝室に戻るかもわからず、涼介は額に手をやって気持ちを抑えた。    十分ほどの時間経過を感じてやや冷静になった涼介は、何度か上半身を傾けて寝室のドアから向こうを覗いたが、開がバスルームから出てくる気配は無い。  もしかしたら自分の精液を飲み下してしまった為に気分でも悪くなったのか、もしくは口淫をしたのは実は不本意で、口内を何度も洗浄しているのだろうかと不安になる。  どちらにせよ、またもや開にしてもらうばかりで一人で達してしまったのは男として情けない限りだ。  ──だからって、自分からどう開さんに触れたらいいのか……。  涼介だってどこに触れたら開を良くさせられるのか検討はつく。ただ「される」ことを開がどこまで許容できるのかはわからないし、最終的には自分が受け身側になるのだと覚悟をしているから、積極的に動くことに躊躇いがある。 「……あ、俺」  なかなかバスルームから出ない開を待っているあいだに回転しだした頭が、あることに気づいた。    ──ケツを洗ってない!  どうしよう、と急に現実問題に突き当たる。実は今日の日を意識して身体を整えてはいた涼介だが、さっきのめくるめく快感に流されて仕上げ洗いをしていない。
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