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涼介は右手の指をウエストゴムにかけた。
「……いいよ。脱がせて」
開の赦しを得て、両手を使って生地を下げる。
「あ……」
開は下着を付けておらず、下生えとかたちを変えたものが、すぐに涼介の目に映った。
開の髪色と同じに細くて薄い茶色をした下生えは、くすみの無い艶肌に良く合っている。かたちを変えた開自身は当たり前に男のそれで、実は芯の強い開を表すようだった。
「開さん、こっちも凄く綺麗……あれ……?」
自分は今夜これに貫かれるのだと、愛しさと緊張が混ざった複雑な気持ちで触れようとして、パジャマの縫い合わせの部分が濡れているのに気づいた。いや、それだけではない。開の後孔に当たる部分から、粘りのある透明な液体が滴っている。
「……準備、済ませておいたから……」
「え?」
開の言葉に顔を上げ、滴りから開の目に視線を移した瞬間、唇が重なった。さっきまでのような扇情的なものでは無く、涼介の反応を伺うような、不安げな触れ方だった。
「充分にほぐしたし、中にたくさんジェルを入れたから……すぐに入ると思うけど、できる……?」
涼介の下唇を柔く喰んで唇を離した開は、頬から耳までを真っ赤にして言った。
「入っ……!? え? 俺が? 開さんに? 嘘……だって……開さん、怖いんじゃないの? だめだよ……無理しないで……」
開の気持ちは嬉しいし、そうできたらと思う気持ちが心の端っこに残っていたのは事実だ。
だが、涼介も開を思って受け身になる覚悟を決めたのだ。自身の欲に走って開を怖がらせたくない。
「ううん……無理してるんじゃない。涼くんが心全部で僕を受け止めてくれるから、僕も涼くんを全身で受け止めたいって、心底思うんだ。……ね、見て。涼くんが僕の中に入るって思うから、ここがこんなになってるんだよ。怖いばっかりじゃ、こうはならないでしょ?」
開が涼介の手を取り自分の昂ぶりに触れさせる。先端は熟れた桃の皮のように色づき、先走りで濡れている。
「開さんっ……!」
自制できない。
涼介は左腕で開を抱き寄せ、右手で開の昂ぶりを握った。
「ごめん、開さん、力が入っちゃう……どうしたらいいか教えて。どうしたら怖くないか、どうしたら気持ちいいだけにできるか、教えて……!」
「ん、んんっ……大丈夫。涼くんの手、凄く気持ちいい。あっ……」
涼介が手を上下させるたびに開の吐息が漏れる。吐息が涼介の鼻先や頬を掠めると、涼介のものも血脈が浮くほどに昂ぶった。
「ふ……。んっ、涼くん、この体勢のままでいてくれる? 顔を見ながらなら怖くないから」
涼介は先走りとジェルで濡れた開のものを夢中で擦りながら頷き、ずれていた背と尻を心持ち正した。
顔が近づき、自然に唇が重なる。
二人、本能の赴くままに互いを啜り合う。とめどない水音が淫靡に鼓膜に反響する。
開が涼介のものを握った。はちきれんばかりに怒張して、開の手の中でびくびくと震える感触が愛しくて、開はつい強く扱いてしまう。
「ん、あっ、開さん、駄目、俺、イッちゃいそ、になるからっ」
「ん……、りょ、くん、おいで」
懇願して開を見上げた時だった。
開の手が涼介の肩を支えにして身体を浮かし、また沈んだ。
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