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「あっ……!」
窄みを押し入り、ずぶりと肉壁を進む確かな感覚。
狭いのに柔らかくて、全方位包み込まれている。
「待って、開さんっ……!」
開が腰を深く落とすと、より締め付けられて血液がそこだけを巡る。全ての感覚が一点に集中する悦楽に、涼介は一気に射精感を促される。開のものを擦っていた手はいつの間にか止まっていた。
「ん、ぁっ……!」
開の腰につかまって耐えようとしたけれど、自分ではどうにもならなくて、涼介は開の中でぶちまけてしまった。
「……たくさん、出たね」
開は優しく微笑むと、涼介の眉根や鼻にキスをした。
涼介の息が次第に落ち着いてきたのを見計らって身体を浮かし、繋がりをほどく。
開の後孔からジェルの残りと白濁が流れ出てシーツを濡らした。だが、開の昂ぶりはまだ収まっていない。
「開さんの……」
当たり前だ。挿入してからたった数分しか経っていない。涼介はまた自分だけ、それもあっけなく達してしまったのだ。
「うん? ……ああ、僕は大丈夫だよ。涼くんを受け止められたことが凄く嬉しいから、大満足だよ。涼くん、二十歳おめでとう。プレゼントになったかな」
涼介の頬を片手で包み、ちゅ、と唇を落としてベッドから降りる開。
「先に寝ててね。後処理してくるから」
微笑む表情は大人の男そのもので、涼介は何度も何度も開のまばゆさに惚れ直してしまう。
が。
今回ばかりはハイワカリマシタ、と素直に頷くわけには行かない。
準備から挿入まで全て開に導かれて(あっと言う間に)終わった。
受け身側で覚悟を決めたつもりが挿入する側になったのに(あっという間に)自分だけが達した。
──これは抱いたと言うより抱かれたと言うのでは……。
「開さん!」
涼介はベッドから立ち上がろうとする開の腕を掴み、引き止めた。
このままでは「はんぶんこ」になっていない。気持ちいいことだって、はんぶんこにしたいのに。
「今度は俺がします」
「え」
若い涼介の身体は早くも二度の射精の疲労感から脱している。
涼介は聞き返そうとした開の唇を塞ぎ、手を胸の先へ滑らせた────
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