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「ごめん! ヒュー。ジュリアが良くこうしてくれて……キスを返すのが習慣だったものだから。……本当にごめんよ」  焦るジェイは俺の頬を片手で包み、もう片方の手の親指で唇を拭いた。また、近くに蒼い瞳が来て、不随意に肩が揺れる。 「わかった、わかったから離して。ほら、ジェイ、早く行かないと道が混むから、早く……」  キスなんて慣れている。フレンチキスなんて大したことない。  そう思うのに、どうして俺は動揺しているんだ。  平謝りするジェイをとにかく出勤させ、ほっと息を吐く。目線をずらすとミアが俺を見上げていた。 「ヒュー、お顔がりんごみたい」 「うっ」    ……うるさい、とか言ったら駄目だ。相手は子供! 「お耳も真っ赤。変なの」 「もういいから。ミア、歯ブラシ持って来い。早く磨かないと虫歯になるぞ!」  ミアは返事をせず、口を尖らせて洗面台へ行った。  ほんと、軽いキスくらいで変だよ、俺。でも、本條としたのが最後だもんなぁ。かれこれ三年はカレシもいない。 「耐性が下がってんな。たまには遊ぶかな……」  こっちでもゲイ専用マッチングアプリとかあるんだろうか、なんて思いながら、ミアが持ってきた歯ブラシでミアの奥歯を念入りにブラッシングする俺だった。
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