5/5

144人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
 ……失敗、した。  ジェイは、俺を受け入れない。 「ヒュー……君……彼と……関……か」  聞き取れないくらいの小さな声。でも、なにを言っているのかは想像がついた。  ホテルに行こうとしたのは、俺が本当にレオと体の関係を持とうとしたからか、俺は本当にゲイなのか、と確認しているんだろう。 「そうだよ、俺、レオと……」  一夜限りでも、あんたへの思いを薄める為にレオと寝ようとした。 「……わかった。全部言わなくていい。これからは僕も気をつけるよ」  ジェイが再び俺を見て言う。表情はいつもの優しいジェイに戻った。  でも。  ──気をつける? どう言う意味? ……いや、そりゃそうか。偏見はなくても、家に独り身のゲイがいたら身構えもするよな。 「心配しないで、ジェイ。俺、分別はあるよ。家主のあんたに襲いかかったりはしないからさ」  ありふれたセリフを精一杯明るく言う。  ジェイは眉を寄せ、小さく(かぶり)を振った。 「そんなこと思っていないよ。わかってるから、シャワーをして今夜は良く休んで」  でも、わかってる、と言ってくれたジェイは、その夜からジンジャーシロップミルクを部屋には運んでくれくなったし、理由がある時以外は俺に触れなくなった。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加