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……失敗、した。
ジェイは、俺を受け入れない。
「ヒュー……君……彼と……関……か」
聞き取れないくらいの小さな声。でも、なにを言っているのかは想像がついた。
ホテルに行こうとしたのは、俺が本当にレオと体の関係を持とうとしたからか、俺は本当にゲイなのか、と確認しているんだろう。
「そうだよ、俺、レオと……」
一夜限りでも、あんたへの思いを薄める為にレオと寝ようとした。
「……わかった。全部言わなくていい。これからは僕も気をつけるよ」
ジェイが再び俺を見て言う。表情はいつもの優しいジェイに戻った。
でも。
──気をつける? どう言う意味? ……いや、そりゃそうか。偏見はなくても、家に独り身のゲイがいたら身構えもするよな。
「心配しないで、ジェイ。俺、分別はあるよ。家主のあんたに襲いかかったりはしないからさ」
ありふれたセリフを精一杯明るく言う。
ジェイは眉を寄せ、小さく頭を振った。
「そんなこと思っていないよ。わかってるから、シャワーをして今夜は良く休んで」
でも、わかってる、と言ってくれたジェイは、その夜からジンジャーシロップミルクを部屋には運んでくれくなったし、理由がある時以外は俺に触れなくなった。
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