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開の頭が涼介の腹の下に落ちる。
「待って待って待って、開さん!」
あと僅かで秘所に唇が触れる寸前で事態を飲み込み、涼介は開の頭を挟んで持ち上げた。
心臓がかつてないほどバクバクと跳ねている。
──出来ないって言いながら、なんでこれはしようと思えるんだ。それも眉間にめっちゃ皺寄ってたの見えたし! 駄目だ、開さんがわからない。
「開さん、俺、今日はひとまず帰ります。すいません。色々考えさせてください」
涼介は開に背中を向けると、腹と下着のあいだに滑稽に挟まったものと茂みを急いで収め、ジーンズをしっかりと履き、開の顔も見ずに部屋を飛び出して行った。
「やっぱり僕は駄目だな……」
部屋に残った開はソファに身体を預け、目を閉じて天井を仰いだ。悲しい気持ちにやりきれなくてしばらくそのままでいたが、おもむろに立ち上がりるとダイニングテーブルに置いたスマートフォンを手に取る。
一方、脇目も振らず早足で駅へ向かっていた涼介もまた、不意に立ち止まり、デイバッグの中からスマートフォンを取り出した。
二人が連絡を取ろうとした先、それは────
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