4/4

144人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
 言い合いみたいになってしまう。アパートメントのどこかの窓が開いて「うるせぇよ!」と怒鳴られた。  やば、と小さく言うと、ジェイは俺を立たせて片手を繋ぎ、突然に歩き出した。 「ジェイ、待ってよ。どこに行くんだ」 「家に帰るよ、ヒュー」 「家? どこの……」 「僕達の家に決まってる。一緒に帰ろう、ヒュー」  前だけを向いていたジェイが立ち止まり、俺に振り返る。深い蒼の瞳が優しく俺を見つめた。  ──胸が、潰れちゃいそう。  俺はもう、なにも言えなくて、ジェイに手を預けてその背中に付いていった。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加