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 何度も何度もキスを交わす。  合わせて、食んで、喋んで。  舌を絡めたら、湿った音が耳に届くほどに貪り合う。  一秒でも離れていたくないと心が言い、少しの隙間も作りたくないと脳が求める。互いの唾液が口元を濡らすのさえ甘く感じて。  もっと濡らして。もっと滴らせて。もういっそ、溶けてぐちゃぐちゃになっちゃえばいい。  他の場所も味わいたいのに、互いの吐息をずっと感じていたくて離れられない。  このままじゃ、ほんとに、唇がふやけちゃうね。 「ん、ジェイ、ジェイ」 「ヒュー、愛してるよ。体に触れていい?」 「聞かないで。すぐにでもしたい」  今しがた、ずっとキスしていたいと思ったのに、ジェイの手が服をまくり素肌に触れると、早く先へ進みたくなった。 「僕もだよ。早く君の中に入りたい。でも、勿体なくて……君を隅々まで愛し尽くしたいんだ。心が狂いそうに愛しいよ」  ストレートで甘い言葉に背筋がぞくぞくする。  欧米人だからかな。日本では言われたことがない言葉をジェイに貰って、それだけで昂ぶってしまう。 「ヒュー、愛しい君。僕に出会ってくれてありがとう。ここにいてくれてありがとう。愛してる」  たっぷり湿った舌が胸の先を撫でる。反対の胸もジェイの指が優しく摘んでくれる。そんなごく普通の前戯がすぐに腹の下に響き、俺は股をすり合わせている。  ああ、言葉も触れ方も、欧米人だから感じるんじゃない。ジェイだから。ジェイだからこんなに感じるんだ。  相手の趣向を満たすだけのセックスじゃなく、快感を探るだけのものでも、慰め合うものでもない。  心から求める相手とのセックスって、皮膚一枚、指先一本で感じてしまうんだ。 「ん、あっ……」  ジェイの片手が太もものあいだに降りた。大きな手に包まれる。何度か上下に揺さぶられただけで、頭の中が真っ白になった。 「ジェイ、俺、もう出ちゃう、ん、ん……気持ちいい。ん、や。んっ……」  射精管理、とか昔はできてたはずなんだけど、全然コントロールできないや。  ジェイの指、気持ちいいからもっともっとしていて欲しいのと、イっちゃいたいから早く動かして欲しいのとで、気持ちがせめぎ合う。 「ヒュー、かわいいよ。凄くかわいい。感じている君を見ているだけで、僕も達してしまいそうだ」  俺の昂ぶりを捏ねながら吐息を漏らすジェイの下腹に目線をやると、すっかり硬度をつけて先走りを滴らせている雄々しいものが、天井を向いて存在を主張していた。  思わず生唾が溢れる。  凄い。俺への欲情でいやらしく血管を浮かせている。 「……欲しい……」 「待ってて。ローションが無いから、バスルームにワセリンを取りに行ってくるよ」  ジェイが離れて戻ってくるまでのほんのわずかな時間も待てなくて、自分で後ろに指を入れていじる。  俺が垂らした先走りが狭間から孔まで伝っていて、久しぶりなのに抵抗なく指が進んだ。 「あぁ、ヒュー、なんて姿だ。我慢できなくなってしまうよ」  戻ってきたジェイは泣きそうな顔をした。逞しい体とのアンバランスさが、なんだ可愛い。  余計に見せつけたくなって、脚を大きく開く。 「悪い子だね。ほら、これは僕がするから指を出して? ……うん、いい子」  ジェイったら、俺は悪い子なの? いい子なの? どっち? 「……っ、あっ……!」
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