第九章

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 だんだん小さくなっていく地球を見ながら、ジルは大きくため息をついた。千春と過ごした楽しい日々。その一つ一つを思い出すと、ジルはやり切れない気持ちになった。  <どうした、ジル>上司にあたる司令官が声をかけた。  <あ、いえ……>  <もうすぐ家族に会えるぞ。うれしくないのか>  <もちろんうれしいです。でも……>  <そういえば、報告によると地球の女の子と仲良くなったそうだな>  <はい……>  <やはり別れはつらいか>  <はい……もう会えないと思うと……>  <その事なんだが>司令官は椅子に座りなおして言った。<今回の件をきっかけにして今後地球ともっと交流していこうという事になったそうだ。そこで定期的に地球に人を派遣して……>  <行きます。私行きます>ジルは身を乗り出して言った。  <まだ何も言っていないぞ>  <あ、すみません>  <地球に人を派遣する事になったのだが、その案内役をお前にやってもらうことになったそうだ>  <はい、やります>ジルは満面の笑顔で言った。  <その間は家族に会えなくなるけどいいのか>  <はい……>ジルは少し言葉をつまらせた。<家族にはルビック星に戻ってくれば会えます。でもちーちゃん……地球で仲良くなった女の子なんですが、彼女には地球に行かないと会えないから……>  <そうだな。じゃあ頼むぞ>司令官はそう言って机のほうに向き直った。  ジルは窓のほうを向き、すっかり小さくなった地球に向かって日本語でつぶやいた。  「ちーちゃん、また会えるよ」
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