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プロローグ
少女にとって初めて訪れたその土地は今まで見たことのない場所だった。どこを見回しても、それまで見てきたものとは似ても似つかぬ景色が広がっていた。少女は大きくため息をついた。これからしばらくはこの場所で生きていかなければならない。そう思うと不安にかられた。
少女は歩き始めた。じっとしていても何も始まらない。自分には大きな使命がある。その使命を果たすためにここに来たのだ。
まわりには草が生い茂っていた。わかってはいたが、どの草も自分より背の高いものばかりだ。草いきれが激しく、体力が奪われていった。そんな中を少女は歩いていった。
その時だった。目の前に見たこともない生き物が現れた。背の高さは少女の2倍はある。その生き物がゆっくりと少女に近づいてきた。少女は恐怖のあまり体が凍り付いてしばらく動けなかったが、すぐに身をひるがえして一目散に走り出した。しばらく走って振り返ると、その生き物が追いかけてきていた。少女は再び走り出した。息が切れそうになるまで走った。やがて足がもつれそうになり、ついに石につまずいて転んでしまった。振り返ると生き物がすぐ近くまで迫っていた。
その生き物は少女に顔を近づけてにおいをかぐと、何事もなかったかのように「ニャー」という声を発して去っていった。少女はそのまま気を失ってしまった。
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