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「翔ちゃん、ありがとう」千春は翔太に言った。
「ああ、お前の体が軽くてよかったよ」
「翔ちゃんもたまにはうれしいこと言ってくれるんだね」
「たまにはって何だよ」
翔太は千春の体を受け止めることは出来なかったが、翔太の体がクッションになって千春はケガをすることはなかった。またジルも千春がしっかりと抱きかかえていたので無事だった。その代わり千春と翔太は泥だらけになってしまった。
「服が汚れちゃったね」
「服は洗えばいいさ。それよりお前とジルがケガしなくてよかったよ」
「翔ちゃんもね」
「そうだな。ところで、何であんな所にいたんだ」
「うん……ジルが落ちそうになって、シーツにつかまっていたの。それで助けようとして……」
翔太は千春の部屋のほうを見上げた。まだシーツが風にはためいている。
「それって、シーツをゆっくり上に引っ張り上げればよかったんじゃないか」
「あ……」
「やっぱりお前はバカだな」
「そうかもしれない。でも……」
「でも何だ」
「ジルがそんな状態だったら、あせっちゃうよ。それに、少しでもジルのそばに寄りたかったし……」
「そうだな。さっきのバカは取り消すよ」
「うん」
「じゃあ帰るか」
千春と翔太は自宅に向かって歩き出した。
「ねえ、翔ちゃん」
「何だ」
「スカートの中、見てないよね」
「え、あ、ああ、み、見てないよ」
「本当に見てない?」
「見てないよ、クマの絵柄のパンツなんか……」
次の瞬間、千春は翔太の体を突き飛ばしていた。
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