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なずなちゃんにワガママを言って送ってもらった家の前。
「この前雑誌で読んだんだ。好きな人とはキスとかぎゅーをしたくなるって。わたし、付き合ったことある男の子とはそういうことしたくならなかったし、気持ち悪いとも思った。でもなずなちゃんにはぎゅーをしたくなるよ。キス、とかも、大きくなったらしたくなる、かも。それでも気持ち悪くない?」
「うん。大丈夫だよ。何も気持ち悪くない。それ、ずっと考えてくれてたんだね。ごめんね全然気づかなくて」
「なずなちゃん鈍感だから」
「あ〜、そういうこと言う〜!」
全身が震えるようなうれしさを抱きしめたまま、玄関のドアに手をかける。
「なずなちゃん!また明日!一緒に帰ろうね!」
「うん。またいつものとこでね」
閉めたドア。跳ね続ける心臓。流れる汗。緩む頬。抜ける力に、かくんとなる膝。玄関で座り込むわたしにお母さんは変な顔をして「何してんの?」と不思議そう。
無敵になった気がした。恋ってすごい。こんなに、力が湧いたりするんだ。明日、学校に行ったら琉香に教えなきゃ。それで、ちゃんともっとちゃんとありがとうって言わないと。
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