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「やっぱり彼氏は年上がいいよね〜」
給食おわりのお昼休み。担任の先生が教室から出ていくのを横目で確認した琉香は、くるんと巻いた髪をさらに指でくるくるしながら派手な表紙の雑誌をわたしの机の上に開いた。見つかったら即没収の持ち込み禁止の雑誌だって、黒しか許されていない色の中で少し明るく染まった毛先だって、ルールから少しだけそれた琉香はいつも可愛くてかっこよかった。ひとつ上の学年の6年生に目をつけられても「琉香は可愛いから仕方ないんだよ」と相手にすらしていなかった。
「琉香、俊介くんと付き合ってなかったっけ?」
「ん〜?別れたよ。子供っぽくてさ。同い年はもういいや。それよりさ、由奈はもう彼氏作んないの?」
「えっ、ああ、うん。わたしはまだ当分いいかな」
「ふ〜ん。由奈可愛いんだからその気になったら彼氏なんてすぐにできるのに」
そう言うと琉香はページをぺらぺらと捲って気になる特集を探す。その中には、わたしたちと同い年くらいのスタイルのいいモデルさんたちに、新商品コスメの特集。夏休みに告白する子向けのアドバイスコーナー。後半には、小学生にはまだ早そうな少しだけ大人っぽい特集もある。琉香は「初めてのキスは?」という見出しが書いてあるページで手を止めて真剣な顔をして読み出した。
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