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雌のツキノワグマが洞穴の中で、鼻提灯をを大きく膨らませグーグーとイビキをかいて冬眠していた。
雌のツキノワグマは、夢の中でウサギになっていた。
ウサギになったクマは、一生懸命になって素敵な雄ウサギをピョンピョンと走って追いかけていた。
・・・・・・
「まってぇーーーー!!まってよーーーー!!」
駈けども駈けども、どんどん逃げていく雄ウサギに追い付けなかった。
雄ウサギは軽やかに、ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!と跳び跳ねている。
ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!
追い付かない・・・!!追い付かない・・・!!
雄ウサギは突然立ち止まり、鼻を突き上げてヒクヒクさせて、辺りを見渡した。
・・・今だ・・・!!
・・・ほーれ!捕まえたっ・・・!!
ぷくぅ~~~~~・・・
・・・えっ・・・?!
すると、自身が後ろからホールドした雄ウサギの身体がどんどんどんどん大きく膨らみ続け、クマの身体になっていたのだ。
・・・き、君・・・クマだったの・・・!!
・・・って、ちょ、ちょっと・・・!!
今度は自身のウサギの身体も、まるで空気が入れられるようにどんどんどんどん膨らんで、クマの身体になってしまった。
「君・・・可愛いね・・・好きだよ・・・」
・・・きゅん・・・
自身は雄グマの顔を見たとたん胸がキュン!となった。
・・・これって・・・まさか・・・?!
・・・恋・・・?!
自身が抱き締めていた雄グマは目を細めるとお互いの大きな鼻と鼻をくっつけ濃厚なキスをした。
・・・む、むぎゅう・・・!!
・・・い、息が・・・!!
自身は踠き苦んでのたうちまわった。
がつーん!!
「いったーーーい!!」
洞穴の壁に思い切り頭をぶつけて目覚めた雌グマは、外から暖かな空気が流れて来るのを感じた。
「春・・・春か・・・?!」
冬眠から目覚めた雌グマは洞穴から出ると2本脚で立ち、大きな鼻を空に突き上げて、辺りに立ち込むさわやかな春の匂いを嗅いだ。
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