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え? ホテル?
いや、そう言われれば、そんな感じだな、とまだぼんやりしながらも、
「え? あ……
はい、素晴らしいです」
と答える。
「遠慮はいらない。
思ったことを言え」
真珠は遠くを見て言った。
「あの……おそらく、ここは外界から切り離されたバリテイストのリゾート地なのかな、と思うんですけど。
すっごいバリな感じではあるんですが。
あの森の向こうに、小さく……
いや、実物はすごく大きいんだと思いますが。
バリっぽくない日本的な観音様かなにかみたいなのが見えるんですけど」
桔平は眉をひそめ、そちらを見た。
「やはり、目に入るか。
あれは一般の金持ちが所有している、もういない先代が建てたとかいう巨大観音なんだ」
仕方ない、金積んで買い取って壊そう、と言い出す。
いやいやいやっ。
観音様ですよっ。
しかも、持ち主がまだいるのなら、危険な廃墟でもありませんっ、と真珠は慌てて止めた。
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