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「またよろしくお願いしますっ、と」
木塀を越えて入ってきた風にヘブンリーブルーが揺れる谷中の夕暮れ。
真珠は縁側のある部屋で、食堂のおばちゃんたちに返信していた。
急に休みの人が出たり、人手が足りないときには手伝ってくれないかと言われたので、了承したのだ。
「ドバイのお土産ありがとう」
「旦那さん、ドバイまで出稼ぎに行ってたんだね」
「あんまり会えなくて寂しいだろうけど、頑張って」
「はい、ありがとうございます」
と打ったとき、ドバイに出稼ぎに行っている夫が戻ってきた。
玄関ではなく、縁側からの方が入りやすいので、そちらから上がってくる。
「おい、買ってきてやったぞっ、惣菜」
猟に出て、獲物を撃ちとって帰ったぞっ、みたいな顔で桔平は言う。
白いビニール袋をどさり、どさりと、ちゃぶ台に置いた。
いや、こんなに……と真珠は苦笑いしたが、桔平は楽しそうだった。
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