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手をつなぎ歩いていると、寺院の方から響くガムランの音が徐々に大きく聞こえてくる。
さっきとは違う香の香りが辺りに漂いはじめていた。
「バリ感増してきましたねっ。
なにかほんとうに海外に出たみたいでワクワクしてきましたっ」
それはこのリゾート地を作った桔平がなによりも望んでいた答えだったようだ。
「よしっ、急ぐぞ、真珠っ」
全開の笑顔で桔平が言う。
あふれる緑にたまった朝露が朝日に輝いている。
燦々と光降りそそぐバリの村に向かい、ふたり手をつなぎ、駆け出していった――。
完
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