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「桔平さん、いないじゃないですか、ほとんど。
そこにいるはずなのにいないと余計寂しくなるから」
たまにドバイに行くこともあるのだが。
桔平は忙しくて、あちこち飛び回っているから。
仮住まいにしているホテルには、ほとんど帰ってこない。
侑李や、六十代、七十代、八十代、九十代の人たちやその家族とドバイを見て回ったり、カイロに行ったり、いろいろしたが。
帰ったときに、桔平がいないと余計寂しかった。
真珠は、ぎゅっと桔平にすがりつく。
「私、ここで天丼よそったりしながら、あなたが来てくれるの、待ってます」
桔平は、真珠の頭をぐしゃぐしゃっと撫でて言う。
「わかったよ。
お前は、お前の落ち着ける場所で暮らせばいい。
俺はお前が寂しくなければそれでいい。
その代わり、俺が会いに来たときは、いつでも俺を優先しろよ」
「もっ、もちろんですっ」
と真珠が拳を作り、見上げると、桔平は鼻と鼻がぶつかるくらい近くに顔を寄せ、真珠の目を見て言ってくる。
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