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「梨田くん、これ持って帰れるようにしといたから」
マスターは今夜も我が家のぶんまで、用意をして下さった。
「いつもすみません。では、お先に失礼します。秋本さん、また来週。」
カランカラン
あぁ、寒い。
店の外に出ると、2月の空気が身に沁みる。今夜も冷えるな。
急ごう、きっと、待っている。
マスターのオムライス、娘の好物なんだ。
店の横に置いてあるママチャリのかごにオムライスを乗せ、娘を迎えに漕ぎだした。
「いつも、すみませーん」
「パパ~」
娘のひかりが、走ってきた。
「おお、良い子にしてたか?」
「梨田さん、おかえり。ひかりちゃん、お利口さんだったわよ」
「あ、ありがとうございます。」
僕は、先生から、ひかりのカバンや水筒を預かると頭を下げて、子ども園を出た。
つないだひかりの手は、まだ小さい。
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