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梨田ひとみ 21歳 僕の妻だ。 出逢ったのは4年前の真夏の夜 繁華街で出逢った。歩道と車道の段差に座り込んで、彼女は雨に濡れていた。傘もささず、ただ雨に濡れていることすら気にならない様子だった。 僕は同級生たちとの飲み会の帰りで、急に降ってきた雨に、駅まで走っていた。 ふと、彼女が目に入った。 そのまま走り抜けて後少しで駅という所まで来た。が、なぜか、どうしても気になって、僕は来た道を戻った。途中、コンビニで、傘とタオルを買った。 あの場所に戻ってみると、まだ、彼女は動かずにいた。 さっきより雨に濡れ、白いTシャツの下の下着が透けて見えていた。華奢な体。短パンから伸びた白い長い脚。 僕は、そっと近よって、タオルを彼女にかけ傘を差しかけた。 さっきまで、俯いていた彼女が、僕を見上げた。 「寒いだろ。きみ、風邪引くよ。」
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