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彼女は、そんなことをしに、街中へ出てきたのだろうか… ハンバーガーをかぶりついてはいたけれど、でも、ふとした時の所作がきれいだった。 そんなことを思い出しながら、歩いていた。 バシャ、タンタンタン、バシャ、タンタン さっきまで降っていた雨でできた水溜まり。 その水溜まりも気にせず、駆けてくる足音が聞こえた。 「おじさん、待って…ハァ、ハァ」 後ろを振り向くと、さきほどの女子高生が追いかけてきた。 え…まだ、なんかあるのか? 彼女は僕に追いつくと、 「これ、返します。ごめんなさい。」 そう言って頭を下げ、僕がテーブルに置いていった数枚の札を、差し出した。綺麗に折りたたんで。 「ハァ、ハァ、…私、お金はあります。」 「そう…」 僕は彼女から受け取り、 「じゃあ、早く帰りなよ。親御さん、きっと心配してるよ。」 と、軽く注意をし、また歩き出した。 「待って…」 「え?なに?…まだ、なんか用?」
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