19人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
7
彼女は、そんなことをしに、街中へ出てきたのだろうか…
ハンバーガーをかぶりついてはいたけれど、でも、ふとした時の所作がきれいだった。
そんなことを思い出しながら、歩いていた。
バシャ、タンタンタン、バシャ、タンタン
さっきまで降っていた雨でできた水溜まり。
その水溜まりも気にせず、駆けてくる足音が聞こえた。
「おじさん、待って…ハァ、ハァ」
後ろを振り向くと、さきほどの女子高生が追いかけてきた。
え…まだ、なんかあるのか?
彼女は僕に追いつくと、
「これ、返します。ごめんなさい。」
そう言って頭を下げ、僕がテーブルに置いていった数枚の札を、差し出した。綺麗に折りたたんで。
「ハァ、ハァ、…私、お金はあります。」
「そう…」
僕は彼女から受け取り、
「じゃあ、早く帰りなよ。親御さん、きっと心配してるよ。」
と、軽く注意をし、また歩き出した。
「待って…」
「え?なに?…まだ、なんか用?」
最初のコメントを投稿しよう!