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「あの…」 「なに?」 僕は、わざと気だるそうに返事をした。 「…あの…一晩、泊めてもらえませんか?」 「はぁっ??」 自分の耳を疑った。なに言ってるんだ、この娘? 「あ、あの、玄関先でいいので…」 「でも、きみ、お金あるんだろ?ホテル泊まれば?」 「…まだ、未成年だから、1人では…」 あぁ、そうか… 「じゃあ、尚更、帰りなよ…」 俯きかけていた彼女が、キッと見返してきて言った。 「帰りません!」 はぁ~… 「僕は、これでも一応、男だよ」 彼女は僕を真っ直ぐ見て、言い切った。 「あなたは、そういう事をしません。それに、指輪してないから、ご結婚されてないはずです。」 は? 「いや、それ、余計にダメでしょ。男の一人暮らしなんて…」 「…お願いします…」 さっきまでの態度と急に変わって、彼女は今にも泣き出しそうだった…
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