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「…私、家出してきたんです…」
"はぁ、だから?"心の中で返事した。
「…私、友だち、少なくて…唯一、頼める子も今日は家族で出掛けてて…」
"だからって、今さっき会ったばっかの男に頼むことか?"
僕は返事をしなかった。
「あの!…明日には、ちゃんと帰ります。…だから…」
彼女は泣いていた。
参ったな…
多少関わったとはいえ、名前も知らない未成年を、いきなり家に泊める?
でも、こんな場所に、弱ってる女子高生を放っておいたら、危険なのは分かる…
だが…
あぁ…優柔不断だな、僕は…
「…好きにすれば…」
卑怯な僕は、決定権を彼女に預けて、逃げるように歩き出した。
「あ!はい!」
彼女は、後を追ってきた。
僕は振り向きもせず、家に向かって歩いた。
彼女は、必死についてきているようだった。
「…っ、痛…」
痛みを訴える微かな声が聞こえた。
僕は歩くのを止めて、後ろを振り返った。
サンダルで靴ヅレを起こした足。
はぁ~…世話が焼ける…
僕はタクシーを呼んで、彼女を乗せた。
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