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夫がソファーのサイズを確認して、にやりと笑う。
「これなら背の低い君でも足が届くよね?」
赤ちゃんのいる生活を想像して選んでくれたのだと感動しかけた気持ちが萎み、投げやりに返事を返す。
「少し大きくなったら、つかまり立ちにもいい高さかな?」
取ってつけたような言葉に思わず吹き出す。
「……今思いついたでしょ?」
「バレた?」
それでも、彼の中で確かに芽生え始めた父親としての覚悟が嬉しかった。
出産日を間近に控えた頃、二人で選んだローソファーが届いた。二人で並んでゆっくりお茶を飲めるのはあと何日くらいだろう。
「何? にやにやして」
「ソファーの上でミルクを盛大にこぼして、あなたがショックを受ける所まで想像出来たわ」
「えっ! 何それ怖いんだけど」
顔をしかめた夫の肩に頭を乗せる。
「元気な子に生まれてきてね」
まるで返事をするかのように、ぽこぽことお腹を蹴った。
夫は神妙な顔をしてソファーのカタログを見つめた。
「大丈夫よ。汚れたらカバーを替えられるのを買ったんじゃない」
「うん、まあね」
「今から心配したってしょうがないじゃない?」
君が言うからと目を丸くした。
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