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新居に置くためのソファーを新調する為に、ホームセンターや家具専門店を夫と二人で巡っていた。時折、お腹の子がぽこぽこと蹴るのを宥めながら、あちこち見て回るのはなかなかにしんどい。夫は大きくなる私のお腹を見て、なかなか決まらない家具選びに焦っているようだった。
「君が好きだって言ってたソファーは?」
「え?」
側にあったソファーに思わず腰かけた私に、夫が無邪気に聞いてきた。
「あれは、有名な建築家がデザインしたソファーだから無理よ」
「何だっけ? ル・何とかの」
「ル・コルビジェ LC2ね。ルしか覚えてないじゃない」
「それそれ」
デザインの専門学校で、初めての作図に選んだソファーなので思い出深い。レザーとステンレスのフレームで構成された美しいデザインに一目惚れだった。直線的で描きやすそうというのも理由の一つだったのは夫には内緒だ。実際に、曲線の多いソファーや椅子を選んだ生徒は、地獄の徹夜を余儀なくされていた。
「憧れのソファーではあるけどね」
パンフレットを見せるとその金額に夫は苦笑いした。
「だから憧れなんだってば」
「こういう低いソファーは?」
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