Reborn

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「食べるか泣くか、どっちかにしたら?」 ブルーのバスタオルを肩にかけた彼が立っていた。 「ほんとね。歳取ると涙もろくて。嫌になるわね」 「オバサンも浴びたら?シャワー」 「う、うん」 茉子はポケットを探る。 「なに?」 「うん。ちょっと・・・・」 ポケットから錠剤が出てきた。 「やば。こんなとこで死ぬとかやめてよ」 「死ぬ訳ないでしょ」 「じゃあ、生きるために飲む薬だ」 茉子は黙った。 外の雨がトタン屋根に跳ね返る音だけが聞こえてくる。 彼は豆電球の小さな明かりをつけた。 白くて丸い"生きるために飲む薬"をミネラルウォーターで流し込むと 「シャワー頂きます」 と、茉子も洗面所へ向かった。 洗面所にはお客さん用みたいなバスタオルと小さな顔拭きタオルがキレイに重ねて置いてあった。
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