Reborn

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どうしてこんな風になってしまったんだろう? 茉子は、ごうごうと鳴り続けている荒れ狂った山の音を聞きながら思った。 雨は激しく窓に打ちつけている。 彼の息づかいを背中に感じる。 1つしかない毛布でどうやって男女2人が寝るのか、シャワーあがりからずっと揉めていた。 彼は私に譲る、自分は三角座りで寝ると言ってきかなかった。 茉子は茉子で、年寄りを舐めるんじゃない。 お前より痛い思いも苦しい思いも腐るほど経験してこの歳になったんだから、毛布なんぞ無くても寝られるわ!と啖呵を切ったのだ。 そんなこんなで埒が明かないので、結局、背中合わせで寝よう、という結論に至った。 茉子はまさか誰かの温もりを感じる展開になるとは想像もしていなかった。 今朝、この命は消えて失くなるはずだったのに。 背中合わせでも、充分感じる自分以外の人間の温かさに茉子は安心感を感じていた。 それが、今の茉子にとって良い事か悪い事かは分からなかったが。
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