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「なんで、死にたいの?」
雨音が耳に心地よくて、うとうとしていたら、背中合わせの彼が言った。
「寝てなかったの?」
彼は答えなかった。
ガタタン、窓ガラスが揺れる。
茉子は背中合わせの質問に、まず、何から話そうか迷った。
「人間が生きるってどういう事かわかる?」
我ながら突拍子ないな、と茉子は思った。
「なんだよ、それ」
彼が鼻で笑う。
「生きるってね、今自分が生きてる事を意識してない、って事なんだよ。つまり無意識でいるって事」
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