Reborn

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チン♪ エレベーターの扉が開く。 正面の窓から燦々と太陽の光が廊下に注いでいた。 「わぁ!海が見える!」 茉子は子供みたいに窓に張り付いて言った。 「近くに海があるんだ。あとで行ってみる?」 彼は子供をあやすお父さんのように言った。 最上階の廊下も凄かったが、やはり最上階の部屋はもっと凄かった。 檜の匂いに部屋全体が包まれている。 天井も柱もふんだんに木が使われていて、部屋全体が明るい。 「素敵ね~。こんな素敵な部屋、見た事ないわ」 クローゼットもあるにはあるが、木目調に溶け込んでいて、違和感がまるで無い。 クローゼットの中には男女の浴衣がお揃いで並べられていた。 友達のような、親子のような、そんな気持ちから一気に現実に引き戻される瞬間だ。 この子供みたいに無邪気に笑う梶とかいう青年と自分はれっきとした赤の他人なのだ。 「ええっと・・・お風呂見て来ようかな」 何か誤魔化す素振りで茉子は内風呂を見に奥の部屋を覗いて、また叫んでしまうのだった。 「ちょっとぉ!!露天風呂だよぉ!!」
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