Reborn

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「修学旅行の中学生みたいだな、ロジャー」 と、彼は笑って 「貸し切り露天風呂があったから、この部屋にしたんだ。気にいった?」 と、露天風呂のお湯に爪先を入れようとしている茉子に言った。 「そうなんだ。凄いよ、あったかい」 茉子の爪先にお湯がまとわりつく。 「この、常にお湯が溢れててお風呂の縁を流れ落ちるのはね、源泉かけ流しでね。ちゃんとした温泉なんだって」 と、茉子が振り返るとすぐ後ろに彼がいた。 彼は茉子の肩を両手で支えて 「片足立ちじゃ危ないよ。怪我しちゃうから」 と言った。 茉子はドキマギしていた。 彼よりも何十年も生きてきた身なのに、これじゃまるで自分の方が子供みたいだ、と。 「今夜、一緒に入る?露天風呂」 めいいっぱい大人の余裕を見せつけるつもりだった。 茉子が冗談めかして言った言葉を彼はあっさりと承諾した。 「いいよ。一緒に入っても」
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