Reborn

29/73
前へ
/73ページ
次へ
そう言われて、茉子はシクッた、と自分の言った台詞に後悔し始めていた。 「よくそんな大胆な事、平気な顔で言うわね。まだ若いのに」 と、茉子は悔しさから多少しかめっ面になる。 「大胆な事、先に言ったのロジャーだろ?」 と、彼は逆に困り顔になった。 「確かに。それはごめんなさい」 茉子は素直に謝る。 「でも、そういう事、平気なの?そんな風だと本気にするオバサンだって出てくるわよ?」 彼はいとも簡単な謎解きをするような顔で 「べつに大した事じゃないよ」 と言った。 「どういう事?よく知らない人と露天風呂に入る事が大した事ないっていうの?」 「なんでロジャーが怒るの。よく知らないオバサンと露天風呂に入ったり、ベッドに入ったりする事にいちいち気持ちは入らないよ。今時は皆やってる」 茉子は自分の頭の中が平和な時代のまま止まってしまっていた事に愕然とした。 「なんの為に、そんな・・・・」 「生きていく為だよ」 彼は湯船につけていた手を茉子のほうへ向けて、指をピンッと弾かせた。 彼の指から飛んできた雫が茉子の頬を伝って 落ちる。 けれどそれより早く、茉子の頬を伝うものが彼からは見えていた。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加