Reborn

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「ほんと、死ぬかと思った・・・・」 茉子の焦った顔を見て、彼はまた可笑しげに 「死ぬかと思ったんじゃなくて、死ぬ為に来たんでしょ?」 と言った。 確かに死ぬつもりで来た。 タクシーの運転手さんに何度も確認されながら。 「この近くに知り合いの家があるんですね?」と。 それもそのはずだ。こんな人っ子1人いない山道で女が1人死ぬ以外にどこへ行くというのだ。 知り合いの家の前まで送ると言ったタクシーの運転手に 「吊り橋の向こう側なので、ここで降ろして下さい」 と無理やりタクシーを降りたのだ。 その吊り橋の上で彼に、出逢った。 「死ぬ前に、喉、渇かない?」 顔面蒼白の茉子とは違い、彼は真っ赤な顔に首まで汗だくだった。 彼は古びたコカ・コーラの自動販売機に160円を入れると迷いなくアクエリアスを押した。
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