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「どうしてロジャーが泣くんだよ!?」
「だって・・・・」
茉子は年甲斐もなく若い男の子の前で泣きじゃくった。
今、どうしてこんなにも涙が出るのか、茉子自身にも分からないのだ。
「お金のために、身体を売るなんて」
「だから、大した事じゃないよ。生きていくには金は必要だろ?金が無いと人間は死ぬんだよ。わかるだろ?職がなければどんな手段をとっても生きていく方を選択するだろ?」
「それ、本気で言ってるの?身体を売るって事は魂を売るって事なんだよ?」
「そんな綺麗事言える奴は所詮、恵まれた場所で生きてきた人間なんだよ。ロジャーだってそうだろ?あんな所から身投げしようなんて、生きる事から逃げるっていう甘えじゃんか。身体売ってまで生きようなんて思わないだろ?そんな覚悟すらロジャーには無いだろ?」
茉子は何も言い返せなかった。
湯船から流れ続けるお湯が、茉子の足をただ優しく温めているだけだった。
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